なるべく抜かない治療

丸子歯科の治療風景

丸子歯科では、なるべく抜かない治療と、抜かない努力をしています。
大半の方は、歯を抜くことは恐いことですし、できれば最も避けたいことだと思います。

しかし、

「虫歯が大きいので抜かないといけないかな?」
「歯がぐらつくので抜くしかないのかな?」
「歯が折れているので抜かないといけないかしら?」

などとお悩みの方にも、できることがあるかもしれません。

歯を失ってしまう原因には、次の3つがあります。

(1)虫歯
(2)歯周病
(3)歯根破折

以前は、虫歯・歯周病が2大原因でしたが、最近は歯根破折で歯を失う方が増えています。
しかし、これら3大原因は、気を付けることで防ぐことができます。

(1)虫歯

虫歯がかなり進行してしまった場合でも、できる限りの治療をして可及的に残すことを目指しています。

1)歯の根に膿がたまっている場合
膿の袋が非常に大きい場合、残念ながら抜歯になることがありますが、歯根の治療を各種消毒薬を用いながら数回繰り返すことによって、再び冠を入れることが可能な場合もあります。

2)歯ぐきの下に虫歯が進行している場合
こんな場合でもかなり深い所まで虫歯が進行していなければ、歯ぐきの形を整えたり歯の位置を修正して冠を入れることが可能な場合もあります。

ただし、虫歯をそのまま放っておくと、最後には根だけの状態になり、抜歯の対象になります。
虫歯を予防するためにも、定期的に検診を受け、治療が必要な虫歯が出来ていないかチェックすることが大切です。

(2)歯周病

かなりグラグラしていて、自分では残すのは無理だろうと思われる歯でも、様々な歯周病対策によって、かなり回復する場合があります。
以前10本抜歯といわれ、あきらめていた方が、5年以上経過して抜かずに済んでいる場合もあります。
あきらめず、ご相談ください。

ただし、治療の限界を超えている場合には、残念ながら抜歯になることもあります。

「歯周病について」詳しくはこちら>>

(3)歯根破折

歯の根が割れてしまっている場合も、一般的には抜歯の対象となります。
しかし、特に気になる症状がない場合や、症状があっても抜歯を希望されない場合は、咬みあわせを調節したり、硬い物を噛まないようにして、気を付けて使っていただく場合があります。
気を付けて使っていただければ、5年以上その状態で大きな問題が出ない方もかなりおられます。

ただし痛みが続く場合や、腫れを繰り返す場合には残念ながら抜歯になることが多いです。

このように、あきらめかけていた歯でも、場合によっては抜かずに残せることもありますので、一度ご相談下さい。

最後に、御自身で抜きたくない歯に関しては、「抜かないとダメ」ではなく、どう残していくかを相談していきますので、相談の時には遠慮なくご希望を聞かせて下さい。

「かみしめぐせ」について詳しくはこちら>>

「歯根破折」について詳しくはこちら>>

残念ながら抜歯をおすすめする時

丸子歯科では、「なるべく抜かない」を基本方針にしておりまので、多少状態が進行していても抜歯を希望されない場合は、無理に抜くことは絶対にありません。
しかし、患者さんの将来、全身的健康を考えた時、残念ながら抜いたほうがよいと判断する場合があります。

1.年に数回腫れたりひいたりを繰り返す歯

歯肉が腫れた時には、歯周病菌を中心とした細菌が大量に含まれた膿が歯ぐきの中にたまっています。その膿は一体どこへ行くのでしょうか。
実は、そのほとんどを飲み込んでいるのです。

体に良い乳酸菌や納豆菌ならどんどん食べれば良いのですが、歯周病菌はテレビを見られた方も多いと思いますが、間違いなく全身に波及し悪い影響を及ぼします。

2.咬む時に痛くてそちら側では咬めない原因となる歯

痛みを我慢して使っている歯をお持ちの方からは「咬むときは痛いので、そっち側は使わないようにしています」
「反対側で咬めるので、なんとか我慢してきました」とよく言われます。
数ヶ月のことならそれでも良いかもしれませんが、数年続くと酷使されている歯がどうなるでしょうか。

仕事を例にとってみますと、10人の職人がいても、5人の職人が頭痛や腰痛で休んだとしましょう。数ヶ月は残った5人だけでなんとかなるかもしれませんが、数年続いたらどうでしょうか。残った5人のうちの数人は過労でダウンしてしまうのではないでしょうか。
歯も同じです。残った歯に負担が集中し、数年後にグラグラになったり、破折してしまうことが多くの方に見られます。

3.その歯が他の歯に悪影響を及ぼす場合

その歯が存在することによって、他の歯に悪い影響を与えてしまうことがあります。
一番よくある例は親知らずです。特に横に向いている親知らずは、手前の歯を虫歯や歯周病になりやすくしてしまいます。
また、20才を過ぎるころからは、親知らずが成長し、前方へ押す力が強くなり前歯の歯並びをずらしてしまうことがあります。

他の例としては、元々はえている歯の裏側から違う歯がはえてしまった場合です。
その場合、歯磨きがうまく出来ないために、やはり虫歯や歯周病の原因になってしまいます。

患者さんと相談していると、「絶対に歯を抜きたくない」「絶対に歯を抜かない方がよいと聞いた」と言われる方もいます。
基本的には、患者さんの希望を尊重する方針ですが、抜いた方が快適な食生活を送ることが出来る、あるいは見た目が良くなる、そして全身的疾患の防止が出来ることがある、ということを知っておいていただけたらと思います。

したがって当院の方針は、

「絶対に抜かない治療」ではなく、「なるべく抜かない治療」です。